日本でも珍しい奇祭の一つ
「ジャランポン祭り」とは、埼玉県秩父市久那諏訪神社で毎年3月に開催されるお祭りです。
別名「葬式祭」とも言われるこのお祭りは、日本全国を見ても他に例がないほど不思議な儀式をとっており、奇祭の一つとして知られています。
祭りでは公会堂に祭壇をつくり死に装束のような白無垢をまとった人が棺桶に実際に体を入れて死体になったかのように振る舞いをします。
そこで僧侶役となった人が簡単なお経をあげなどまるで本当の葬式のように進行していきます。
葬式の流れが終わったら今度は葬列を作って諏訪神社へ向かいそこで祭典を行います。
再び公会堂に戻ってから壇払いの儀式を行ったあとに十三仏を唱えたところでジャランポン祭りは終わりとなります。
面白いのがお祭りの間を通して死人役の人は陽気に振る舞っていくということで、三途の川の渡し賃を他の人にねだったり、棺桶に入るときに好きな酒を持っていったりというようなことをします。
「死ぬ」というネガティブなイメージのことをできるだけ面白おかしく表現していくというのがこのジャランポン祭りの最大の特徴です。
ジャランポン祭りの歴史と意味
ジャランポン祭りがいつどのようにして始まったかということについては、残念ながら正式な記録は残されていません。
ですが昔から旧暦の7月22日に行われてきており、それが現在では春祭の宵宮祭として行われるようになったことで毎年3月15日かそれに近い日曜日の開催ということで定着しています。
お祭りの由来については、どうもその地域にかつて流行した疫病が関係しているようで、蔓延する疫病をおさえるために人身御供を捧げて祈願をしたことが祭りの原型となったといいます。
今も祭りで使用される位牌には「悪疫退散居士」という名称が書かれており、古くから土地の厄除けとして行われてきたということを伺わせます。