公園に集まって

高齢者に大人気の太極拳

太極拳とは中国発祥の長い歴史を持つ健康法です。

中国といえば世界三大伝承医学の一つである「東洋医学」の発祥の地として知られていますが、太極拳もその流れの中で発生した健康効果の高い運動です。

テレビなどの動画で太極拳を行っている人を見ると非常にゆっくりとした動きをしていて簡単そうにも見えますが、実際にやってみると相当に奥が深く一日二日でできるようなものではありません。

太極拳が生まれたのは中国四千年の歴史の中のことであり、その間には多くの思想や哲学が盛り込まれてきました。

他の健康のための運動法と太極拳が大きく異なるのは、ひとつの運動の中に多くの哲学理念が込められているということで、単に運動だけでなく人間性を高め人生を豊かにしていくという効果があります。

「太極拳」という言葉ももともとは万物が生成される天と地という太極を示すものであり、運動を通して世界や宇宙とのつながりを体の中に取り込むことができるようになっています。

この太極という考え方は東洋医学の基本でもある「陰」と「陽」にも通じており、人それぞれの体質や健康状態に応じての効果を得ることができるのです。

参考>>健康と生きがいのスポーツ武術太極拳

太極拳は基本を反復する運動

太極拳の動きは、基本的な動作の繰り返しによって行われています。

動作は十三勢という基本でできており、これを反復しながら自分の体の奥底にある「勢」を練り上げていきます。

十三勢は太極拳の基本ですが、上級者になってくるとそこにさらに太極の勢、相対性、無極の勢、絶対性といったような深め方をしていくことになります。

日常的に行う太極拳の動作として一般的に使用されているのが「簡化二十四式太極拳」で、この基本動作をまず最初にマスターすることから始めます。

そこから41式、48式、88式、太陽扇、太極剣といったふうにたくさんの技を覚えていくようにします。

太極拳はネットなどで独学で学ぶこともできますが、単なる運動と異なりその裏側にある思想や哲学への理解も必要になることから、最初はきちんとした師について基本までできるようになるということがおすすめの習得方法になっています。

最初に間違った動作を身につけてしまうと、あとから正しく修正するのにかなりの時間を要すると言われているので特に習い始めの時期の覚えはとても重要です。

驚きの太極拳の効果

さてそんな太極拳の身体への効果ですが、特に高齢者にとって嬉しいものばかりとなっています。

実際に行った人に現れた効果としては、インナーマッスルや足腰の筋肉の強化があります。

高齢者におすすめされている理由がまさにこれで、太極拳を行っていくことで転倒防止の効果があり自立した生活を続けていくことができやすくなります。

また哲学や思想を意識しての運動である太極拳は心や脳をリラックスさせる効果も高く、運動を開始してから頭の回転が早くなってきたという意見も聞かれています。

太極拳は本場中国でも大人気で、北京や上海などの都市部に行くと朝の時間帯に公演などの広場を使ってたくさんの人が太極拳をしている様子を見かけることができます。

日本でも少しずつそうした太極拳を行う習慣が根付いてきており、特に高齢者のための集会で積極的に推進される動きもあります。