高齢者のガン治療の実際
高齢になってくると、いつもと同じ生活をしていてもいつの間にか大きな病気になってしまったりということがよくあります。
中でも発生件数が激増するのが「ガン」で、検査をしたらかなりの部位にまで転移が広がっていたというような例もよく聞く話となっています。
後期高齢者になってから自身がガンであると告知をされた場合、かなりの割合で延命のための治療を受けないという選択をされる方が見られます。
年齢も80歳くらいになってくると本人も家族も「もう十分に生きたし」という雰囲気が出るようになり、仮に本人がもう少し生きていたいと思っても家族のためなどを思ってそのまま自然に亡くなることを選ぶのが道徳的であるかのようにも言われます。
ですが治療を受ければあと数年でも生きる事ができる生命を、本人の意思にかかわらずそこで切ってしまうようにするというのは残念なことです。
現在の医療技術はかなり進んでいるため、本人が治療を望めばかなりの割合で助かることができます。
ガンの告知を受けたなら周囲のことはさておき、自分自身がこれからどうしたいと思っているかということをしっかりと考えることをおすすめします。
ターミナルケアの重要性について
その一方で、既に発見されたときにはガンがかなり進行してしまっており、完全に取り除くのは不可能と診断されてしまうこともよくあります。
そうした場合には本人がどうしても生きたいと願っても、数度の大手術を繰り返し自立した生命維持の手段の大部分をなくして苦痛を感じながらかろうじて生命だけを保つといった未来が待つことになります。
治療を受けるにしても受けないにしても余命があとどのくらいかと宣告されるのは高齢者といえどもやはり最初は受け入れがたい苦痛となることでしょう。
現在そうした高齢のガン患者のために多くの病院で設置しているのが「ターミナルケア」のための診療科です。
「ターミナルケア」は別名「終末医療」とも言われおり、末期がんにより残りの人生が短いことがわかってしまった人に対し、残りの人生をどのように過ごすのが最もよいのかということを探し実現していくための治療です。
看護師資格の上位資格にあたる認定看護師にも「緩和ケア」という資格があるほどターミナルケアは難しく、高い知識や経験が求められます。
日本においては尊厳死は認められていませんので、あくまでも自然死を前提としますがそのためにできるだけ苦痛のない方法をとっていくのが緩和ケアの実務となってきます。
在宅で受けるターミナルケアについて
末期がんとして診断された高齢者の多くが希望するのが「住み慣れた自宅で最後の時間を過ごしたい」ということです。
残りの人生が数週間ならば、病院のベッドで横になって過ごすよりも自宅で身辺整理をしたいというわけです。
そこで現在多くの医療機関で進められているのが、在宅で受けられるターミナルケアのためのしくみです。
在宅でターミナルケアを受けるときには、医師や看護師、薬剤師といった医療従事者の他に、ケースワーカーやホームヘルパーといった多くのスタッフの協力が必要になります。
ですので通常の在宅ケア以上に連携をとり状態を適切に把握する仕組みが必要になります。