新しい高齢者問題となっている「ロコモティブ症候群」
「ロコモティブ症候群」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
これは「メタボリック症候群」のように、すぐさま病気というわけではないものの特定の不健康傾向が見られる人たちのことで、放置をすることにより将来的に重大な疾病に掛かる可能性のある危険な症状をいいます。
具体的にロコモティブ症候群がさす内容となっているのは人の運動機能で、膝を中心とした体の間接部分や筋肉に著しい低下傾向が見られるということを重視しています。
ロコモティブ症候群となった人はその時点ではまだ自立した生活ができていても、何かのきっかけで重大な障害を持つことになったり、最悪の場合には寝たきりになってしまう可能性があります。
そのため高齢者となった人はすべてできるだけ早めに自分の体にロコモティブ症候群の兆しが見られないかをチェックして、危険信号があるときにはそれに対策をとっていくことが望ましいとされます。
ロコモティブ症候群の人に見られる特徴
ロコモティブ症候群とされる人の大きな特徴となるのが、全般的な動作のスピードが低下するということです。
歩く、運ぶ、持ち上げるといった日常の中の動作がなぜか急にできにくくなったと感じることはないでしょうか。
ロコモティブ症候群と分類される人は、「歩くのが遅くなった」「ちょっとした段差でつまづきやすくなった」「ちょっとしたものでも持ち上げるのが困難」「ものを持って歩くとよろける」といった自覚症状が見られます。
人は加齢とともにどうしても体力が落ちてきてしまいますので、若いころのように早く走ったりすることができなくなったり、重たい荷物を持ち上げることができなくなってしまうというのはわかります。
問題はその体力低下のレベルが日常生活に支障をきたしてしまうところにまで行ってしまうということです。
思うようなスピード移動ができなくなったり、カーペットのシワや部屋の扉の前の板の小さな段差にも躓くようになったということは、近い将来転倒事故を起こしそれがきっかけで車いすや杖が必要な生活になってしまう可能性があります。
最近著しく体力が落ちたと感じたら、診療機関を受診するとともに適切な運動をする習慣作りをしていきましょう。
ロコモ対策には運動の習慣を
ロコモティブ症候群への最も効果的な対策方法は運動の習慣をつけるということです。
運動といっても何十キロも走ったりベンチプレスをしたりというようなハードなものではなく、簡単なストレッチや筋肉トレーニングだけで十分です。
運動強度としてはラジオ体操くらいのものと考えてもらえばよいかと思います。
大切なのはきちんと継続的に続けていくということで、習慣的に体の部分を動かすようにしていくことで著しい筋力低下を防ぐことができます。
またロコモティブ症候群に並んで大きな高齢者の問題がメタボリック症候群です。
メタボリック症候群は主に肥満体型が原因となるものですが、長期にわたり肥満体系が続くと運動頻度が落ちて血行が悪くなり、筋肉量が落ちてロコモティブ症候群を併発しやすくなります。
ロコモティブ症候群とメタボリック症候群は全く別物ではなく多くの人が併発をしているため、両方に対応するための方法をしっかり計画していきましょう。